【目的】神経幹細胞および骨髄由来神経系細胞を用いてその神経細胞への分化、シナプス形成、あるいは、神経細胞の保護効果を電気生理学的手法を用いて観察し、これらが電気的神経活動の側面からどれだけ中枢神経系細胞の機能を有しているかを探ることを主な目的とする。この再生医療の疾患モデルとして、GLT-1(グルタミン酸トランスポーターsubtype)のノックアウトマウスを用い、興奮性アミノ酸の神経毒性に対する保護作用について追及し、虚血、外傷、痙攣発作などによって損傷された神経回路を、新たに再構築するという観点から、従来のantinecrotic、antiapoptotic thrapyの概念ではない、神経幹細胞を主体とした移植、すなわち<replacement therapy>の可能性を検討していく。 【方法】マウス海馬スライスの電気生理学的実験の予備実験として、D9-11のラット幼若海馬スライス培養を用い、形態を経時的に観察した。【結果】(1)ラット海馬培養系を用いて最大35日間にわたり安定して海馬の解剖学的基本構築を保ちながら、培養スライスを維持することができた。(2)培養開始後7日目のスライスを用いて、無グルコース、無酸素状態を導入したところ、新鮮スライスと同様にfield potentialの消失を確認した。【結論】幼若ラット海馬の培養を最大35日まで継続することは可能であった。次年度は、幼若GLT-1ノックアウトマウスを用いて表記の実験に着手する。(629字)
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