本研究は術者が容易に腫瘍を識別し、腫瘍のみの摘出が可能となるよう薬剤による腫瘍の可視化を目的とした研究である。本年の目標として発光をいかに定量化し発光強度と組織との相関を調べるための基礎実験とした。 大型動物(豚)を用いて5-ALAの静脈投与を行い、脳表面が発光している実験モデルを作成した。照射光源として従来型のxenon光源に加え青色LEDを用いて波長405±5nmの精度の装置を開発した。定位的に大脳表面に照射を行うためのフレームの作成を行い、これにより従来では肉眼での観察が困難な発色をより明瞭化することが可能となった。特に従来型の発光装置に比べて焦点深度を高めより鮮明な5-ALAによる発光をもたらすことが可能となった。これら内容をビデオ録画し発光の強度、波長についての測定を行った。 これに加え、発光状態を測定する機器のプロトタイプが完成し、5-ALAの発光状態をwindowを通してモニターし発光の波長測定を行うことが可能となった。大型動物による実験で、体重50kgの豚に対し20mg/kgの5-ALAを事前投与を行う。投与後3時間より大脳表面を露出。先の光源装置を用いて発光の観察を行うと630nm付近に集中する波長の観察を確認しえた。次の課題として、波長観察のための装置の簡略化、装置と組織の間の測定距離の延長が必要と考えられた。また、光強度の定量化装置の開発が必要と考えられた。また、最終目標としてこれら装置を手術顕微鏡に組み込み、より操作性を高めた臨床実用機器の開発が必要となる。
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