研究者は骨芽細胞における甲状腺ホルモンのreceptor activator of NF-κB ligand (RANKL)遺伝子発現調節機構を解明し、甲状腺ホルモンによる破骨細胞の活性化機構を明確にすることを目的とし、正常ヒト骨芽細胞株(NHost)及び、ヒト骨肉腫細胞株(MG63)を甲状腺ホルモン存在・非存在下で培養し、RANKLの誘導について検討した。結果(1)両培養細胞とも甲状腺ホルモン存在下で36〜60時間培養することによって、甲状腺ホルモンの濃度依存的にRANKL mRNAが増加することを定量的RT-PCR法(SYBR-Green Iを用いたreal-time PCR法)を用いて確認した。(2)甲状腺ホルモンのRANKL mRNA増加作用は蛋白合成阻害剤;cycloheximide存在下で消失することから、RANKL遺伝子発現に新たな蛋白合成を要することが示唆された。 これらの成績および、RANKL遺伝子のプロモーター領域には明らかな甲状腺ホルモン応答領域が存在しないことから、RANKLは甲状腺ホルモンの一次応答遺伝子ではなく未知の調節因子の介在が示唆された。 現在、正常ヒトgenomic DNAからRANKL遺伝子のプロモーター領域を増幅し(PCR法)、ルシフェラーゼ発現ベクターに挿入したキメラプラスミド及び同プラスミドのプロモーター領域のdeletion-mutantを作製中であり、RANKL遺伝子の甲状腺ホルモン関連応答領域の解明を進めている。
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