昨年度までにマウス骨肉腫細胞株に第3世代のビスホスフォネート製剤(インカドロネート、ミノドロネート)を投与しin vitroでの腫瘍増殖抑制効果を報告した。本年度は腫瘍増殖抑制の原因について検討した。これらの薬剤は濃度・時間依存性にRap1のプレニル化を阻害し、細胞周期において、S期の細胞比率の増加を認めた。また、DAPIによる核染色で核の濃染・アポトーシス小体を認め、TUNEL陽性細胞比率は時間依存性に増殖してアポトーシスを誘導していることがわかった。 次に、ドキソルビシン耐性株に対するビスホスフォネートの増殖抑制効果について耐性度(親株と耐性株のIC50値の比率)を比較検討した。高濃度で親株であるMOSとほぼ同様の効果を示したが、ドキソルビシンに対する耐性度とビスホスフォネートに対する耐性度はほぼ同様であった。さらに、増殖抑制効果を高める目的で、ビスホスフォネートに他の抗癌剤と併用させ相乗効果の有無について検討した。抗癌剤としては現在骨肉腫の治療に用いられているDoxorubicin、Cisplatin、Methotrexateに加えて、他の癌腫などで使用されているPaclitaxel、Gemcitabeneなどを用いた。現在骨肉腫の治療に用いられている薬剤との併用効果は認めなかった。しかし、Paclitaxel、Gemcitabineとは併用効果を認めたことから、BPsと他の薬剤を併用することで低濃度の薬剤での効果、臨床未使用薬剤の効果、耐性克服などの可能性があると考えた。
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