1.空気塞栓モデルの作成 (1)血管摘出および灌流装置へのセッティング 体重200-250gのラットから血管径200μmの腸間膜動脈を長さ3mmで摘出後、微小血管灌流装置のマイクロピペットにマウントし、血管壁および接合部からの漏れがないことを確認した。血管外を21%酸素、5%二酸化炭素及び74%窒素を含んだ気体でバブリングし37℃に保ったクレブス液で灌流した。フェニレフリン及びアセチルコリンを用い血管反応性が保たれていることを確認した。 (2)血管内への気泡注入 細胞注入装置に接続した先端を鋭利に研磨したマイクロピペットで血管壁を刺入し、ごく少量(2-3nl)の空気を注入し空気塞栓モデルを作成した。顕微鏡に接続したビデオカメラを用いて気泡の長さ(L)および直径(D)を計測した。 2.接着力の測定 気泡が注入された血管の片端を大気に開放した後他端の圧力を徐々に上昇させ、気泡が動いた時点の気泡両端の圧格差を測定し、血管壁と気泡の間の単位接触面積あたりの接着力(K)をK=ΔP-D/4Lから算出した。気泡の血管内留置時間、血管内灌流液、血管内皮の状態を変化させて反復測定した。 3.現在までに得られた結果 (1)気泡留置時間と接着力 血管内灌流液としてクレブス液を用いた場合、留置時間10分での接着力(141±29 dyne/cm^2)は、5分(56±22 dyne/cm^2)、20分(46±29 dyne/cm^2)、30分(16±5 dyne/cm^2)と比べて大きかった。
|