研究概要 |
手術侵襲などにより生じた、落痛、侵害刺激は一次感覚ニューロンにより脊髄後角に伝えられ、その後二次、三次とニューロンを代え刺激が大脳皮質の中心後回にある感覚野に投射するとはじめて疼痛感覚を認識する。侵害刺激が伝達される課程においてシナップスレベルで様々な調整を受けることが知られている。ここに作用するネオスチグミン、アデノシン、クロニジンなど今まで全く疼痛痛管理とは関係ないとされている薬物が強い鎮痛作用を認め、脊髄後角レベルにおいて興奮性を制御している可能性が示唆されている。そこで、それらの薬物を使用しプレエンティブアナルゲジアモデルからMAPKファミリーの活性を測定した。 今までに、ラットの下部脳幹スライスにおいてプレエンティブアナルゲジア状態を作成し、MAPKファミリーの中で現在痛みに関わっているといわれているERK、JNK、p38の活性を測定し、現在までERK, JNKは活性化することが明らかとなってきた。しかしながら、これまで、疼痛反応と最も関連するといわれていたp38は活性化されなかった。プレエンティブアナルゲジアモデルの様々なタイプを作成することによってプレエンティブアナルゲジアの本体を解明し、局所麻酔薬・ネオスチグミン・アデノシン・クロニジン・ケタミンなどを単独あるいは組み合わせて使用し、どの鎮痛薬が優れているか臨床研究に応用し優れた鎮痛法を探索している。現在このような研究は国内外ともに行われていない。
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