内因性大麻の敗血症時の血行動態への関与が指摘されているが、通常の周術期の推移については不明である。そこで、ガスクロマト質量分析法を用いた内因性大麻および酸化ストレスの指標であるイソプロスタン一斉分析法により、周術期の内因性大麻と酸化ストレスの推移について検討を行った。現在までのところ、それぞれアナンダマイド242±270.15(pg/ml)、2-Aracchydonylglyceol(2-AG)1.85±0.75(ng/ml)、8-epi-prostaglandin F2α(イソプロスタン)169.46±49.76(pg/ml)と正常値が決定されている。今回は、生体侵襲の程度が異なる病態として、子宮筋腫、食道癌、敗血症患者の周術期の推移について比較した。さらに、どのような病態にPMXの効果があるのかについて敗血症患者と子宮筋腫、食道癌患者の周術期の内因性大麻と酸化ストレスの関係から検討を行った。周術期の内因性大麻の推移は、アナンダマイドは子宮筋腫=食道癌=敗血症であり、2-AGは子宮筋腫<食道癌<敗血症の順であった。PMXにより昇圧した症例では、2-AGの有意な低下を認めた。周術期のイソプロスタンは子宮筋腫、食道癌、敗血症の順に高くなる傾向が認められ、敗血症では高値が遷延した。敗血症患者と食道癌患者の集中治療開始時のイソプロスタンは同程度であるが、経過とともに敗血症患者のイソプロスタンが上昇した。敗血症患者は強い酸化ストレスが遷延した状態にあり、敗血症の循環動態の形成には内因性大麻のなかでも2-AGの関与が大きい。敗血症患者は強い酸化ストレスの状態にあり、敗血症の循環動態の形成には内因性大麻のなかでも2-AGの関与が大きい。酸化ストレスの軽減を目的とする治療や、2-AGの除去を目的としたPMXの使用は敗血症の治療に有望である
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