膀胱癌の再発はmonoclonal cloneがintraluminal seedingされることにより発症するとする説と膀胱癌周囲の粘膜が原発巣と同じ遺伝子変異を来しているとするfield defectの二説があるが確定していない。われわれはFISH (fluorescence in situ hybridization)法により膀胱癌患者の膀胱癌の7、9、10番染色体数的異常を検索し、7番染色体trisomyおよび9番染色体のmonosomyが膀胱癌に多く、non-randomな変化であること、これらの変化が腫瘍周囲の病理組織学的に正常な膀胱粘膜にも認められることを報告した。一方、尿細胞診検体を用いたFISH解析にて9番染色体monosomyがearly recurrenceを予測する因子であること、細胞診検体の遺伝子変異は膀胱癌本体の遺伝子変異と一致していることを証明した。そこで膀胱多箇所生検検体を用いて表在性膀胱癌のfield defectの有無を検討することは再発の作用機序の解明のみならず将来の再発予測にもっながる可能性があると思われる。
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