研究概要 |
淡明腎細胞癌は腎細胞癌の中で最も頻度の高いsubtypeで全腎腫瘍の70%以上を占める。われわれは、約20,000のcDNAをspotしたmicroarrayを用いて、まだ十分に検討されていない淡明腎細胞癌組織gene expression profilingを行い、同定されている予後予測可能な遺伝子群が淡明腎細胞癌の予後を識別可能かどうかを検討した。その結果、淡明腎細胞癌の予後を予測可能な51の遺伝子からなる遺伝子群を同定した。さらに、新しい淡明腎細胞癌の凍結組織から同様にRNAを抽出し、それぞれ同じ患者の正常腎部から抽出したRNAとともに、同じcDNAmicroarray chipを用いてcompetitive hybridizationを行った。各サンプルから得られたデータから、われわれが同定した予後予測可能な遺伝子群の発現データを抽出し、それぞれの遺伝子の発現が正常と癌の鑑別にどれくらい関連があるか、また2群の中央値からどれだけ発現値が離れているかを計算し、これらを各群にvoteする"weighted votes"を行った。これらの総計としてprediction strengthを計算し、各サンプルが予後の異なる2群のどちらの遺伝子発現を持っているか統計学的に判定した。計8例のうち、2例は正確に予見され、4例は予後予測の傾向が見られた。grade 3の2例はpoor outcome groupと,grade 1の2例はgood outcome groupと診断された。症例数は少ないが、この予後予測可能な遺伝子群で、かなりの割合で症例の予後予測が可能であると考えられた。
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