研究課題
精子運動活性化に於いてリン酸化される鞭毛タンパク質である36kDaおよび10kDaタンパク質について、昨年度の研究でpyruvate dehydrogenase E1βおよびcarcinustatin様配列を持つタンパク質である事が判ったが、得られたアミノ酸配列を元にペプチド抗血清を調製した。調製した抗血清のうち36kDaタンパク質のN末端15アミノ酸に対する抗血清のみが使用に耐えうる品質であった。そこで36kDaタンパク質のN末端15アミノ酸に対する抗血清のみを使用し更なる検討を進めた。その結果、昨年度大まかに明らかにしたように36kDaタンパク質はミトコンドリア鞘に含まれるタイプと繊維鞘に含まれるタイプの2種類ある事が確認出来た。しかしながら、その存在量はミトコンドリア鞘に含まれるタイプが圧倒的に多い事が判った。さらに36kDaタンパク質について得られたアミノ酸配列を元にプライマーを設計し、精巣cDNAライブラリーから遺伝子のスクリーニングを行ったが、既知の体細胞pyruvate dehydrogenase E1βと同じ配列しか得られなかった。一方、昨年度に引き続き新規リン酸化タンパク質の検出を行った。その結果、21種類ものリン酸化もしくは脱リン酸化タンパク質を新たに検出した。これらリン酸化および脱リン酸化タンパク質のうち、受精能獲得過程の初期に脱リン酸化される75kDaタンパク質について解析を進め、このタンパク質はスレオニン脱リン酸化を受ける事、そして受精能獲得開始から30分経った所で脱リン酸化されることが判った。またこのタンパク質は二次元電気泳動での解析に於いても検出され、その移動度から等電点が5.5である事が判り、分子量と等電点の値を元に精製を行い、現在粗精製の状態までステップが進でいる。
すべて 2004
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Comparative Biochemistry and Physiology, Part B 137
ページ: 509-520
Reproductive Medicine and Biology 3
ページ: 85-93
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