研究概要 |
【対象】平成15年7月より当院で尿路上皮癌と診断され入院治療をうける患者のうち,尿中剥離細胞におけるサバイビン,テロメラーゼ活性,hTERTの検討に対して十分な理解と承諾が得られた患者6例を対象とした. 【方法】対象患者より採取した自然排尿された20-50mlの尿をEDTA処理した採取容器に採取.採取した尿は直ちに冷却遠沈.洗浄遠沈後2/3を凍結保存.残りの1/3を用い採取同日に尿沈渣検査を施行した.これによりテロメラーゼ活性擬陽性を示すと考えられる3症例に対してはin situ TRAP assayを行った.また,全例で腫瘍組織を凍結保存した. 【結果】尿沈渣で6例中3例でWBC100/HPFと著明な尿路感染が見られた.これらの症例ではin situ TRAP assayは弱陽性と思われる剥離細胞をわずかに認めるものの尿中RBCとWBCにより判定不能であった.残りの3例に対して蛍光TRAP法を用いたテロメラーゼ活性の測定を行った.内一例は内部標準の増幅が不十分で解析不能であった.残りの2例では8bpごとのladderを認めず,尿中テロメラーゼ活性は陰性と判断した.この3例の腫瘍内のテロメラーゼ活性は21.8-38.4U/ugで全例でテロメラーゼ活性の発現を認めた. また,尿中サバイビンの発現は6例中2例で認められ10^<2.74>-10^<5.44>copies/ug total RNAであった. 【考察】尿中テロメラーゼ活性は6例中4例で検討不能で2例は陰性であった.また,尿中サバイビンは6例中2例で活性を認めた.十分な解析ができていないがこれらの症例では十分な尿中剥離細胞を採取できてない可能性があり,尿の採取法の検討および洗浄法を考慮する必要があると考えられた.さらに症例を重ね尿中サバイビン,テロメラーゼ活性,hTERTの尿路上皮癌患者検出についての有用性について検討していきたい.
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