体腔内圧としての膀胱内圧は比較的おだやかで、また時間軸上では遅い現象の部類に属し、心血管系の経験するダイナミックな時変性圧力とは本質的に異なる。膀胱内圧の値域の最大値は100mm~ 150mm (1KPa~1.5KPa)程度で、現象の時間推移の観測周波数は2~3Hz程度で、診断上必要とされる圧の軸の分解能はスパンの1/100もあれば十分である。この前提に基づき、本課題である「新しい非侵襲ウロダイナミクス(膀胱内圧テレメトリー法)」の開発に着手した。 まず、平成15年度は、本課題に適合する寸法のカプセルの中にベローズないしダイヤフラム式の感圧変位機構に磁芯を搭載した可変インダクタンスコイルと、発振回路と、最小クラスの1次電池を組み立て収容する事を目標にして実験的試作品の作成に取り掛かった。そして、背後室が封じ切りのベローズないしダイヤフラム構造の作成により静圧を変位に変換して可変インダクタンスを得、それによる可変周波数発振器を発信源として、膀胱内に送り込む事ができる体腔内留置型のテレメーター発信器の実用化を試み、4倍および2倍の拡大モデルにより披能を確認し、その実用化の見通しを得た。現在の問題点としてはこの目的に適った柔軟で強靭なプラスチック薄膜から成るベローズの実現と、また暫時溶解する材料による遅延解放手段としての飴の開発が課題であり、これらの検討も同時に行った。 平成16年度は早期に等倍試作モデルを完成させ、それに遅延解放手段としての飴を組み込み、実際の臨床現場で使用できる試作品の作成に全力をかけ、実験動物にて体腔内留置型テレメーター発信器の実用化に向けたデータ集横を施行する予定である。
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