今年度の本研究課題は、引き続き膀胱内圧テレメトリー装置の開発とその実用化への道筋を立てることであった。外径6mm、長さ10mmの薄肉金属ベローズの軸上の一端にフェライト可動磁芯と固定コイルを配置し、他端に表面実装部品による発振回路(電池を含む)を大略6x6mmの両面回路基板に組み付けて配置し、この構造物全体をベローズの内部空間を封じ切る様に接着剤で固定してin-vitroテスト用の試作機を得た。全長は約18mm、発振周波数は約6MHz、軸上約20cmの距離におかれた直径15cm程のワンターンサーチコイルからインピーダンス整合回路を経て通信用短波受信機に計測可能な入力信号が得られ、積分時間0.1〜0.2秒にて必要十分な信号対雑音比で外圧の推移に呼応する発振信号の周波数推移ないし、位相推移の測定が可能であった。これより、膀胱内圧テレメトリー装置は、in-vitroでは使用可能と判断した。使用したベローズが他の用途(加圧流体回路)の物の流用で、その寸法やバネ定数などの緒元が所望の設計値の物ではないため、可動磁芯、固定コイルおよび発振回路はベローズの中には収容出来ず、このため外径は外部尿道を通過し得るための6mmという目標値を達成したが、長手方向の寸法は10mm程度という目標値を達成できなかった。またベローズの肉圧に依存する圧力増分と周波数変位の関係は今後の最適化の課題である。今年度の研究成果は、今秋の日本ME学会に発表予定である。 今後の課題は、ベローズとしてプラスチックないしセラミックの精密加工品を採用、磁芯、コイル、発振回路ともその内部空間に収容し、人体に使用できる試作品をまず完成させ、それを使用した実験動物によるin-vivoテストである。
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