1.基礎的検討について これまでの我々の検討で、メラトニンが抗癌剤の増感作用をもつのかどうかについて検討した。これまでCDDPはもちろんであるが、ALAMAR BRUE ASSAYを用いた生細胞数の検討により、TAXOL(パクリタキセル)、TOPOTESIN(塩酸イリノテカン)でも昨年同様の効果をえることができた。16年度はさらに卵巣癌で用いる他の抗癌剤での影響を調べることであった。16年度に使用した抗癌剤は、現在卵巣癌治療の主流となりつつあるTJ療法の一つであるCARVOPLATINを使用した。その結果CARBOPLATINにおいても、メラトニンが10-7〜9Mであるときに抗癌剤の増強効果を認めた。このことを含めた結果は現在投稿中である。 2.臨床的検討 本年度の目標であるメラトニンの臨床応用についてであるが、まだ実施をみてはいない。周期的化学療法をおこなっている卵巣癌患者を対象に行う予定で、具体的には抗癌剤治療の前日から、治療終了後までにメラトニンを内服してもらう予定であった。そして以前の治療と比べて、副作用の程度について評価することが目的であった。しかし現在卵巣癌治療に用いられる抗癌剤もCAP療法からTJ療法への切り替えが進んでおり、単純にその比較ができないことが実施までできなかった要因である。現在この切り替えがすすんでおり、来年以降には実施可能と考えている。また欧米ではメラトニンが、市販されているサプリメント的なものとして扱われているが、日本ではなじみがすくなく、当院における倫理委員会の承認を待たねばならず、計画そのものも遅れた感がある。昨年秋に承認され現在は既に患者の選定は終了している。今後臨床効果の点からも検討する予定である。
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