研究概要 |
【目的】卵巣癌におけるp27をはじめとする細胞周期関連遺伝子およびステロイドホルモン関連遺伝子の発現を検討するため、上皮性卵巣癌におけるefp(estrogen responsive ring finger proten)の発現およびその発現制御のメカニズムを検討した。 【方法】対象は当科にて初回治療を受けた上皮性卵巣癌100例および卵巣癌細胞株12株である。卵巣癌組織についてはefp,ERα,ERβの免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的因子との関連について検討した。卵巣癌細胞株および正常卵巣表層上皮細胞株についてはWestern blotting、定量RT-PCRをefp、ERα、ERβについてそれぞれ行った。 【結果】Efpは上皮性卵巣癌100例中63例において陽性であり、漿液性腺癌、進行例(stage III/IV)において有意に発現の亢進を認めた(それぞれp=0.012,p=0.026)。efpの発現と予後との関連は認められなかった。Western blottingでは卵巣癌細胞株12株中8株でefp蛋白の発現を認め、その内7株で同時にERαの発現を認めた。定量RT-PCRでも、タンパクとほぼ同様の発現を認めた。 【結論】efpの発現は上皮性卵巣癌の進行例において亢進しており、腫瘍の進展に関わっていることが示唆された。 なお、本研究の概要は第63回日本癌学会において発表した。また、現在英文誌に投稿中である。
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