天然癌抑制物質の一種とされているカレー成分内のターメリック含有のクルクミン(Curcumin)に着目し、子宮体癌を対象に細胞株の1種類であるIshikawa細胞株を用い、研究を行なった。子宮体癌患者は年々増加傾向で、当院においてもこの10年間に約2倍の増加傾向を示している。子宮体癌は食生活に密接に関係し、肥満患者の頻度が高いことは良く知られている。しかしながら子宮体癌の予防医学においては皆無であり、そこで申請者は前立腺癌でもアンドロゲンレセプターに作用、形質転換能、抗腫瘍効果抑制を得ることが可能なクルクミンを用い、ホルモンレセプターの核内リガンド結合を介する子宮体癌をin vivoの実験も加え、研究を行なった。しかしながら子宮体癌ではクルクミン投与にも関わらず、エストロゲンレセプターを介さず、転写因子のEstrogen Response Element(ERE)のみ抑制を認めた。一方、分子作用因子として作用に影響されるとされるActivator Protein-1(AP-1)は、クルクミンに投与により蛋白量、転写因子ともに抑制され、共役転写抑制因子であるcAMP response element-binding protein(CREB)-binding protein(CBP)においても強く関与を示していた。そのことにより、クルクミン投与による子宮体癌はAP-1、CBP、EREを介し、in vitroでの形質転換能は約90%、クルクミン摂取でのin vivoの腫瘍抑制能においても約75%抑制効果を認められた。 本研究でクルクミンは子宮体癌においても有効な天然癌抑制物質であり、経口により容易に抗腫瘍効果を得ることから、今後治療に貢献できることだけでなく、予防的なサップリメントとしても効果があることを示唆した。現在投稿中である。
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