1.ヒト単一卵子からRNAを抽出する方法を確立した。 2.マウス卵子特異的ヒストンH1(H1oo)と相同性の高い遺伝子配列をデータベースから推測し、ここからプライマーを作成した。 3.このプライマーを用いて、ヒト単一卵子からRT-nested PCRを行い、得られたPCR産物の塩基配列を解析することによって1041bpのopen reading frameを持つcDNAを同定した。 4.このcDNAから推測されたアミノ酸配列に対して、データベースからhomology解析を行なった。その結果、このアミノ酸配列は他動物種の卵子特異的ヒストンH1ときわめて相同性が高く、更に内部にcentral globular domainといわれる卵子特異的ヒストンH1に共通の構造を有していることが分かった。 5.RT-nested PCRによって、このcDNAはヒト各種臓器(肺、肝臓、乳房、脾臓、腎臓、小腸・筋肉組織、リンパ球)には存在しないことを確認した。 6.以上よりこのcDNAはヒト卵子特異的ヒストンH1であると考えられ、これをhuman oocyte specific histone H1 : osH1と命名し、GeneBankに登録するとともに、別記の如く、学会誌に発表した。 7.osH1全長のうち、30アミノ酸残基をepitopeとして家兎より、抗osH1 polyclonal antibodyを作成した。 8.このpolycolona抗体を用いて、ヒト卵子およびヒト卵巣に対して免疫組織染色を行い、osH1タンパクの卵子特異的発現を確認した。 9.現在、ヒト単一卵子中のosH1 mRNAの定量化を検討中である。
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