耳下腺多型腺腫は、耳下腺に発生する腫瘍の中で最も頻度の高いものであり、わずかな残存組織から容易に再発し、また時に悪性転化して様々な上皮性・間葉性悪性腫瘍を発生することが知られている。この耳下腺多型腺腫には以前から細胞学的に染色体欠失が伴うことが報告されており、第8番、12番などの染色体がしばしば欠失していることが知られている。今年度は、今までに蓄積していた耳下腺多型腺腫症例から抽出したDNAを元に、3番、6番、8番、10番、12番、13番、17番染色体について、それぞれdinucleotide repeatを用いたマーカーでのヘテロ接合性の消失(LOH)実験を行った。その結果、特に第3番染色体の一部(D3S966)で、非常に高頻度にLOHが確認される領域が明らかになった。今後、さらに検討する染色体領域を増やすと共に、3番染色体の領域のfine deletion mappingを行い、その検討を行っていく予定である。
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