研究概要 |
TLR4とMD-2の複合体がグラム陰性菌の細胞壁構成物質の一つであるリポ多糖(LPS, Lipopolysaccharide)の受容体である。上気道の感染防御機構におけるTLR4とMD-2の複合体の役割を明確にするために、まずヒト喉頭癌細胞株HEp-2における、TLR4とMD-2の複合体および同じTLRファミリーに属するRP105の発現を抗TLR4抗体および抗RP-105抗体を用いて調べたところ発現は認めなかった。そこでHEp-2に発現ベクターに挿入したTLR4とMD-2それぞれのcDNAをtransfectionし、強制的に発現させた細胞株を確立した。その細胞にLPS刺激を加え、生細胞蛍光イメージ顕微鏡にて観察することによってTLR4およびMD-2の周辺分子がどのように機能するのかをリアルタイムに観察した。 またTLR4とMD-2の複合体を発現した細胞にLPS刺激を加えるとTNF-α (tumor necrosis factorα)の産生が増加することが知られている。TNF-αは腫瘍の壊死および退縮に関与するサイトカインであることから、TLRが腫瘍の増殖またはアポトーシスにどのように関与するのかを解明しようと試みた。TLR4とMD-2を発現させたHEp-2にLPS刺激を加え、観察および解析を行った。そして実際に喉頭癌患者の摘出標本においてそれぞれの分子の発現をRT-PCRによって正常組織と比較した。
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