1)Balb/cマウスを用いた無莢膜型インフルエンザ菌による急性中耳炎モデル 中耳炎作成後、1日目、5日目、10日目において断頭し、マウス中耳骨胞のスライドを作成した。中耳炎惹起後、5日目をピークとして、中耳粘膜肥厚と共に、中耳粘膜および中耳腔に好中球を中心とした炎症細胞の浸閏が著明に認められ、10日目においても、浸潤細胞異数の低下を認めるものの、依然として、好中球を中心とした中耳炎が認められた。TLR2、TLR4に対する蛍光2重染色し、共焦点レーザー顕微鏡下での観察においては、中耳腔内には、TLR2単独陽性の炎症性細胞が遊出し、炎症細胞でのTLR4の表出はほとんど認められなかった。しかし、粘膜下層に存在する単核球において、TLR4陽性の細胞が認められ、炎症巣におけるTLRの役割の相違が示唆された。 2)TLR4陽性マウスであるC3H/HeNとTLR4欠揖マウスC3H/HeJを用いて、TLR4における急性中耳炎での炎症制御に関する研究 インフルエンザ菌を上記各種のマウスに中耳炎を惹起した後に、中耳貯留液を6時間、12時間、24時間後にインフルエンザ菌の中耳からのクリアランス及び炎症細胞浸潤について検討した。C3H/HeNマウスにおいては24時間経過後には細菌が検出されないのに対して、C3H/HeJマウスでは24時間経過しても中耳貯留液は存在し、細菌も完全に排菌されなかった。また、C3H/HeJマウスにおいて好中球中心の炎症細胞浸潤数も同様に著明増加した。以上より、TLR4がグラム陰性菌における好中球を主体とした自然免疫に対して重要な働きを持っていると思われる。
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