扁平上皮癌培養細胞株としては、A431(epidermoid carcinoma由来)、KB(口腔底癌由来)、YCU-T891(舌癌由来)およびKCC-L871(喉頭癌由来)の4種類の細胞株を使用した。in vitroにおいて、抗EGFR抗体(C225)による腫瘍増殖抑制効果については[^3H]TdR-uptake法を用いて測定した。EGF蛋白産生の有無に関してはRIA法により確認した。EGFRの蛋白発現に関してはWestern-blotting法を用いて、またmRNA発現についてはreal-time PCR法を用いて定量を行った。血管新生因子のうちVEGFの抗EGFR抗体(C225)処理による変化についてはELISA法により測定した。in vivoにおいて、A431、KBおよびYCU-T891細胞をヌードマウスに移植し、抗EGFR抗体(C225)をi.p.投与し、その増殖抑制効果を測定した。 以上の検討より、in vitroでは、腫瘍増殖抑制効果については、A431、YCU-T891およびKCC-L871において濃度依存性の腫瘍増殖抑制効果を認めた。扁平上皮癌培養細胞株においてEGFの産生が認められたものはA431のみであった。EGFRの発現は4種類すべての扁平上皮癌培養細胞株において認められた。VEGFの産生に関しては、KBとYCU-T891において高い産生を認めた。また、これらのVEGFを高産生していた扁平上皮癌培養細胞株においては、抗EGFR抗体(C225)処理後のVEGFの産生抑制効果が強くみられた。in vivoでは、A431とYCU-T891細胞では抗EGFR抗体(C225)単剤で抗腫瘍効果が認められた。
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