難聴・めまいの原因となる末梢性内耳障害は臨床上頻度も多く、重要な疾患である。その原因は様々なものが考えられているが、その治療法となると確立されたものは数少ない。このため新たな治療法の開発が求められている。近年、あらたに様々なメカニズムを有する薬剤が開発されているが、その中で我々はHSP誘導剤に着目して研究を行っている。HSPとは熱ショックなどのストレスや、薬剤などにより細胞内に誘導される蛋白であり、様々な攻撃因子に対し、細胞内で非特異的な防御を担うものである。なかでもGGA (Geranylgeranylacetone:テプレノン)は、日本で最も多く使用されている胃粘膜保護薬であるが、最近ストレス蛋白HSPを安全に誘導する作用があることが報告されている。 このHSP誘導剤であるGGAの内耳障害に対する保護効果をみるため、モルモットを用い、 (1)薬物障害モデル(カナマイシン、エタクリン酸投与) (2)音響外傷モデル(強大音負荷;115dB 4時間負荷もしくは130dB 3時間負荷) などの内耳障害モデルを作成し、GGAの内耳保護効果について検討を行っている。
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