研究概要 |
昨年度(15年度)に17年間におよぶ大規模な追跡調査で得られた1,000人以上にのぼる加齢黄斑変性症患者の過去の臨床データのデータベース化を行った。作成された加齢黄斑変性症患者のデータベースをもとにデータの構造解析を行い、活用可能なデータと意義づけ可能なデータを抽出した。具体的には、既往歴や家族歴、視力、眼圧、屈折値、眼底検査所見、蛍光眼底造影所見、無赤色光眼底造影所見、光干渉断層計所見、過去に行った治療、および発症に関わる全身疾患の有無、生活習慣、血液検査データなどを抽出した。そして、加齢黄斑変性の時代的変化に応じた解析を行うことができるように、データベースのプラットフォーム化を行った。そこから得られたデータをもとに加齢黄斑変性症の危険因子、悪化因子、防御因子をあきらかにするための統計解析を大型計算機システムを用いて行った。大型計算機システムは九州大学の既設のシステムを使用した。大型計算機システムによる大規模多変量統計解析を行うことで、加齢黄斑変性症と全身疾患および生活習慣や環境因子との関係を多次元的、系統的に解析することができた。本データベースをもとにしたこれらの多岐にわたる様々な統計解析の結果、加齢黄斑変性症発症に関連する重要な危険因子を見いだすことができた。また、これらの重要な危険因子の中からとりわけリスクレベルの高い危険因子を選択することで予防効果が確実な予防対策を立案することもできた。
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