神経ペブチドであるVasoactive intestinal peptide(VIP)は前房水中に存在していることが知られており、Th1型T細胞の増殖反応を抑制することが近年明らかとなってきた。今回我々はVIPを用いて実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)の抑制効果について検討を行った。実験方法として、網膜抗原であるIRBPの合成ベブチドをCFAとともにC57BL/6マウスに免疫し同日より1日おきにVIPの腹腔内投与を行い、また他の実験ではIRBP免疫後8日目よりVIPの投与を開始した。対照群に対してはPBSを投与した。免疫後21日目に屠殺し眼球を摘出、VIPの抑制効果について組織学的検討を行った。同時にTh1型T細胞の機能を反映するといわれているIRBPに対する遅延型過敏反応(DH)についてもVIP投与群および対照群について検討した。さらにVIPと共培養を行った腹腔内惨出マクロファージ(PEC)によるEAUの抑制効巣を検討した。実験結果は、対照群に比較してVIP投与群においてEAUの発症率および炎症スコアの有意な抑制が認められ、また免疫後8日目よりVIP投与した群でも同様の効果を認めた。またIRBPに対するDHの反応もVIP群にて有意な低下がみられた。さらにVIPと共培養を行ったPECを投与された群においてもEAUの発症抑制および軽減化がみられた。これらの実験データからVIPおよびVIP刺激PECはEAUの発症抑制および炎症の軽減効果を有すると考えられ、ヒト難治性ぶどう膜炎への臨床応用が期待された。
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