本研究において、自然妊娠した雌ラット(Sprague-Dawley rat)の母体に0.5%カルボキシメチルセルロース溶液に溶解したFlutamide 15mgを連日腹腔内投与し、尿道下裂モデルラットを作成し、Flutamideを含まない溶媒のみを腹腔内投与したラットを正常モデルとした。母体にFlutamideを連日投与することにより、出生した雄ラットは100%尿道下裂を発病していた。また80〜90%の確率で、成長すると雄ラットに停留精巣(移動性精巣を含む)が合併していることも確認された。 次に、このモデルラットの胎生16.5日〜出生時までの胎仔の尿道を連日採取した。胎生16.5〜18.5日ラットの尿道の採取は尿道のサイズがかなり小さいため困難であり、また切断面を指定した組織の固定も不可能であった。そこで臍部以下を一塊として採取することとした。これら標本を用いて尿道の矢状断・冠状断のHE染色用切片を作製した。HE染色により、尿道下裂モデルでは、尿道口が一般的なmiddle penile typeの尿道下裂に相応する部分に開孔し尿道海綿体の形成不全を思わせる所見が認識された。今後、正常モデルと比較しながら胎児の成長に伴い、尿道下裂がどのように形成されるていくのか、詳細に検討する予定である。また、電子顕微鏡による三次元的な解析も進めていきたいと考えている。
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