[目的]胎仔小腸を細胞単位にまで分離し、高密度で培養を行うと、細胞は再集合し小腸様構造物が形成される。この再形成された小腸様細胞塊を成熟マウスの腹腔内に移植し移植後小腸様細胞塊の状態を経日的に組織学的評価をおこなった。 [材料と方法]マウス胎仔小腸をコラゲナーゼ・ディスパーゼで細胞単位に分離した後、高密度でメンブレンフィルター上に培養を行った。約1週間で再形成された小腸様細胞塊を成熟マウスとヌードマウスの腹腔内に移植した。その後移植位置、経日的に形態学的変化、成熟マウスとヌードマウスとの移植細胞塊生着の差を比較した。 [結果と考察]成熟マウスの腹腔内では肝表面に細胞塊が癒着した状態が最も生着状態が良好であった。また移植後3日目までは細胞塊の状態が保たれていたが7日目を過ぎると細胞塊は周囲の炎症性の変化により消失していた。ヌードマウスでは炎症性の変化は認められなかったものの7日目で消失していた。 [結論]再形成された小腸が形態的にも機能的にもかなり分化していることはすでに報告した。今回、腸再生を目的として細胞単位に分離した胎児小腸を培養により小腸様細胞塊に再構築し成熟マウスの腹腔内に移植したが成熟マウスもヌードマウスも移植後の生着状況に差は認められなかった。移植後約1週間で移植細胞塊は消失していた。
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