I.平成15年度においては、骨髄細胞GFP陽性モデルマウスを作成し、小腸をその中点で切離・端々吻合したものをコントロール群とし、小腸を70%切除し残存小腸を端々吻合したものを短腸群とした。各群について、術後1週目および2週目に犠死させ、空腸および回腸の一部を摘出し検体を作成した。 各検体をH-E染色および電子顕微鏡にて解析したところ、この短腸症候群モデルにおいて小腸の絨毛高および微絨毛高が正常に比し高くなっており、adaptationが得られたことを確認し得た。 さらに、マウスの腸管吻合は手技的に困難が予想されたが、熟練により、90%以上の安定した生存率を得ることが可能であった。 現在、これらの検体に対し、抗CD45抗体および抗F4/80抗体を用いて免疫染色を施行し、骨髄由来GFP陽性幹細胞の局所での分化について比較検討中である。 II.次年度は短腸症候群モデルにおいて、残存小腸を構成する細胞(小腸上皮細胞、腸管平滑筋細胞等)に骨髄由来幹細胞が分化し得るか否かについて引き続き検討する。 また、上記の結果が得られれば、短腸症候群モデルにG-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)を投与することにより骨髄細胞の生成を刺激することで、残存小腸の再生が刺激され、腸管吸収能が改善されるか否かについて検討を進める。
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