短腸症候群における残存小腸のadaptationに対し、骨髄幹細胞による再生が関与するか否かについては未だ不明である。 過去我々は、骨髄細胞GFP陽性モデルマウスを作成し、小腸をその中点で切離・端々吻合したものをコントロール群、小腸を70%切除し残存小腸を端々吻合したものを短腸群とし、各群より術後1週目および2週目の空腸および回腸の一部を摘出し、H-E染色および電子顕微鏡にて解析した。その結果、この短腸症候群モデルにおいて、小腸の絨毛高および微絨毛高が正常に比し高くなっており、adaptationが得られたことを確認し得た。さらに、マウスの腸管吻合は手技的に困難が予想されたが、熟練により、90%以上の安定した生存率が得られた。 現在、短腸症候群モデルにおいて、残存小腸を構成する細胞(小腸上皮細胞、腸管平滑筋細胞等)に骨髄由来幹細胞が分化し得るか否かについて検討する目的で、コントロール群及び短腸群より得られた検体に、抗CD45抗体および抗F4/80抗体を用いて免疫染色を施行後、Confocal Laser Scanning Microscopyにて骨髄由来GFP陽性幹細胞の局所での分化について引き続き検討中である。 また、上記の結果が得らた場合、短腸症候群モデルにG-CSF(granulocytecolony-stimulating factor)を投与することにより骨髄細胞の生成を刺激することで、残存小腸の再生が刺激され、腸管吸収能が改善されるか否かについて検討を進める予定である。
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