研究概要 |
【高細胞活性状態osteoblastの細胞膜phosphataseの局在と機能について】 骨改造現象に伴う骨関連細胞の機能段階の推移を検索するにあたり、本年度はまず骨形成部に見られるosteoblastについて、その細胞膜上に発現するアルカリpH領域で強い活性を示すphosphataseの局在とその機能的意義について検討した。いわゆるosteoblastに見られるALP活性が骨石灰化に深く関わることはこれまでの数多くのin vitro,また低フォスファターゼ血症の研究等からconsensusとして理解されてきたが、実際にosteoblastを含む微小環境でどのようなメカニズムでこの酵素が石灰化に関与しているのかは多くの不明な点を残している。中野らは骨型ALP(TNSALP)を含む2種のアルカリpH領域で強い活性を示すphosphataseについてosteoblastの細胞膜上にそれぞれ極性を持って限局して存在することを証明し、加えてTNSALP (Akp2) null mutant miceでの解析からその機能的意義について考察した。この研究により骨の添加と石灰化機序における高細胞活性状態osteoblastの関与機構の一端を明らかにするに至った。本研究の内容については現在論文投稿中である。またこれに関連した石灰化機構として歯牙碑組織についても解析を行い論文発表を行った。 【osteocyteの細胞活性評価因子の時間/空間的分布の解析】 引き続いてosteoblastにより形成された骨基質内に埋入されたosteocyteの活性状態の推移をosteoblast, osteoclastの細胞活性状態と併せて時間的空間的に可視的に検索する実験系を立ち上げた。これには、まず骨形成と吸収を2次元/3次元的方向性を持って解析することが可能なモデル部位となり得る骨種を正常動物の全身から検討し選択した。これを用いて組織学的にosteocyteの細胞活性の評価基準となりうる種々のタンパクの発現レベルの分布を現在解析中であり平成16年度も引き続いて検索を行う予定である。解析データの一部を現在論文にまとめ投稿中である。
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