研究概要 |
グルタミン酸は味蕾においてはこの味毛部位においてうま味として感受される。うま味受容体としてはグループIIIに属するtaste-mGluR4およびT1R1/T1R3のヘテロダイマーが関与または機能していると考えられている。代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)はその機能によりグループIからIIIの3グループに分類されている。グループIに属するmGluR1およびmGluR5は細胞内IP3やcAMPの上昇させる機能を有している。マウスにおけるうま味感受においてIP3やcAMPの上昇が認められることから、mGluR1およびmGluR5がうま味受容へ関与している可能性が推察された。そこで本研究では、mGluRグループIに関しての発現様式の解析を行い、これらの受容体の機能の推察を試みた。 RT-PCR法を用いた検索の結果、ラット有郭乳頭におけるmGluR1の発現が認められ、mGluR5に関しては発現が認められなかった。さらにin situ hybridization法による検索の結果、味蕾を構成する一部の細胞(約50%)でのmGluR1 mRNAの発現が認められた。次に蛍光抗体法および免疫電顕法によるmGluR1αの局在の検索により成体ラット茸状、葉状および有郭乳頭において味毛での局在が認められた。味蕾の発生段階(生後7,14,21日目)でのmGluR1αの発現は生後14日目より認められ、味蕾の細胞数増加に伴い増加することが認められた。このように味毛でのmGluR1αの発現が認められたことから、本受容体のうま味受容への関与が推察された。
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