研究課題
グルタミン酸は味蕾の味毛部位においてうま味として感受される他に、神経伝達物質として機能している事も示唆されている。そこで本研究では、ラット味蕾において代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の発現様式の解析を行い、これらの受容体の機能の推察を試みた。うま味受容体に関してはmGluR1およびmGluR5の発現様式の検索を行った。有郭乳頭におけるin situ hybridization法による検索の結果、味蕾を構成する一部の細胞でのmGluR1 mRNAの発現が認められた。次に蛍光抗体法および免疫電顕法によるmGluR1αの局在の検索によりラット茸状、葉状および有郭乳頭において味毛での局在が認められた。このように味毛でのmGluR1αの発現が認められたことから、本受容体のうま味受容への関与が推察された。次に中枢神経において神経伝達物質放出の調節に関与するmGluR2およびmGluR3の発現様式の味蕾での検索を行った。in situ hybridization法による検索の結果、ラット有郭乳頭において味蕾を構成する二部の細胞でのmGluR2およびmGluR3 mRNAの発現が認められた。さらに蛍光抗体法により、有郭、葉状および茸状乳頭の味蕾を構成する一部の細胞および味蕾下部の固有層の神経線維でのmGluR2/3の発現が認められ、味蕾においてはgustducinの共発現も認められた。mGluR2/3の発現は舌咽神経切断により急速な減少が認められたことから、mGluR2/3の発現には舌咽神経が密接に関係していることが推察された。以上の結果よりmGluR2/3は味蕾においてグルタミン酸受容に関連したなんらかの機能を果たしていることが推察された。本研究の結果より味蕾においてうま味または神経伝達物資としてのグルタミン酸の受容に、各種のmGluRが関与し機能していることが推察された。
すべて 2005 2004
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