研究概要 |
・TAT proteinを細胞にtransductionするときにpreparation bufferという溶媒に溶解させるが、この溶媒に若干の細胞毒性があることが判明した。そこで細胞毒性試験を行ったところ溶媒は、培養液の5%以内に抑える必要があることが分かった。このことから、TAT proteinの濃度は17μM以上必要であることが判明した。 ・Tat-elaプラスミド含有E coliから、TAT-E1A proteinを5回pulificationし、17μM以上の濃度で得られたフラクションが2種あった。 ・L GuelenらがTAT-proteinを用いた実験を発表(Oncogene 23(5),1153-1165,2004)しており、その中で使用されたTAT-GFPが本研究でも有用なコントロールとなりうるので、tat-gfpプラスミド含有E.coliを譲渡してもらい、TAT-GFP proteinを2回pulificationした。 ・TAT proteinのpulification確認作業に、多くのTAT proteinサンプルを使っていては、本実験がスムーズに進行しない。現在までの実験で、ゲル上でのCBB染色の検出限界が0.1mg/mL(0.1μg)、膜上でのECLによる抗原濃度は約0.1μg/mLが検出限界であることを明らかにしてきたが、さらに本年度、CBB染色による膜上の検出限界、ゲルから膜への転写効率が判明し、Western blottingを行う場合のサンプル量を少なくすることができるようになった。現在、論文投稿準備中である。 ・癌細胞株SCCVIIをRPMI-1640で培養後、細胞数を調整し、miceに投与した。投与部における腫瘤形成までの日数はSCCVIIのPDTから計算した日数にほぼ一致した。 ・癌細胞株SCCVIIを投与したmiceにTAT proteinによる処置をおこなったところ、TAT-GFP protein処置例では、無処置のときと同じように腫瘤形成をみたが、TAT-E1A protein処置例では、一例も腫瘤形成がみられなかった。現在、miceの病理解剖が済み、標本の作製中である。
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