1.ラット顎下腺におけるAQP5蛋白質の分解に関与する遺伝子のスクリーニング 本研究に至る独自の研究において自然発生的に顎下腺細胞膜特異的に水チャネル蛋白質AQP5蛋白質の発現量が極めて低いがAQPSmRNAの発現量は正常ラットと同程度であるラットを見いだしており、本ラットにおいてはAQP5のmRNAから蛋白質への翻訳以降の過程において何らかの異常が関与していることが考えられた。そこで、顎下腺におけるAQP5の発現・分解に関与する遺伝子を単離するために、自然発生的に顎下腺細胞膜特異的にAQP5蛋白質の発現量が極めて低いラットおよび正常な発現量のラットの顎下腺よりRNAを抽出し、cDNAを作成した。TesterにはAQP5蛋白質の発現量が極めて低いラット由来のcDNAを、Driverには正常なAQP5蛋白質発現量のラット由来のcDNAを用いてRepresentational Difference Analysis法によりスクリーニングを行った。得られたクローンの塩基配列決定を行ったところ、AQP5の発現・分解に関与するのではないかと推測される4つの候補遺伝子が認められた。現在、単離された遺伝子の2種組織間での発現量の差についてRT-PCR法により検討中である。 2.AQP5-GFP融合蛋白質発現ベクターの作成およびstable発現細胞系の確立 AQP5蛋白質は合成された後、細胞膜へ移動して機能する蛋白質であるが、どの過程で発現・分解調節を受けているのかを検討するために、全長のAQP5遺伝子とGreen fluorescent protein融合蛋白質発現ベクターに組み込み、AQP5-GFP融合蛋白質発現ベクターを作成した。これを腎尿細管由来の培養上皮細胞であるMDCK細胞株に導入後、G418を添加した培地で培養し、stableなAQP5-GFP融合蛋白発現細胞株を樹立した。今後この細胞株を用い、上述のRDA法により単離された遺伝子を発現させ、AQP5蛋白質の発現・分解に関与する遺伝子について検討する予定である。
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