口腔機能の一つである咀嚼を理解する上で、歯根膜感覚の中枢支配領域を同定することは非常に重要なことである。ヒトは厚さ20μmの試験片を咬み分けると言われているものの、その中枢支配領域の詳細に関しては不明である。そこで、Functional MRIを用いて、咬合刺激による歯根膜感覚の大脳皮質支配領域の同定を行った。インフォームドコンセントを得た健常ボランティア20人に対し、Functional MRIを施行した。装置は1.5TのMRI装置を用い、咬み合わせを刺激とした。咬合力の測定は、Functional MRI撮像と同時にデンタルプレスケールおよびオクルーザーを用いて測定した。デンタルプレスケールおよびオクルーザーでは左右の咬合バランスを計測することも可能であった。最大咬合力による刺激をevent related paradigmにて付加し、咬合時と安静時を繰り返す刺激とした。データの解析はSPMを用いて行い、咬合と賦活領域の関係、咬合バランスと賦活領域の関係について検討した。咬合刺激によるFunctional MRIにより中心後回、視床領域に有意な賦活領域が認められた。左右の咬合バランスと賦活大脳半球との相関は認められなかった。咬合刺激によるFunctional MRIの結果より、中心後回、視床に歯根膜感覚の支配領域が存在する可能性が示唆された。また、咬合バランスと大脳皮質支配有意半球に関しては、相関は認められなかった。
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