研究概要 |
口腔癌細胞株におけるTS・DPD活性を酵素抗体法にて検索を行ったところ、 BHY(歯肉扁平上皮癌:TS 0.887pmol/mg protein, DPD 15.95pmol/mg/min) B88(舌扁平上皮癌:TS 0.913,DPD 8.44) HNt(舌扁平上皮癌:TS 0.943,DPD 検出限界以下) HI(舌扁平上皮癌:TS 0.671,DPD 検出限界以下) SCC25(舌扁平上皮癌:TS 0.826,DPD 検出限界以下) HSG(顎下腺癌:TS 0.796,DPD 8.63) HSG-AZA1(顎下腺癌:TS 0.611,DPD 27.19) HSG-AZA3(顎下腺癌:TS 0.660,DPD 10.74) HSY(耳下腺癌:TS 1.150,DPD 14.59) TYS(腺扁平上皮癌:TS 0.493,DPD 14.28) 以上から、舌扁平上皮癌細胞株はDPD活性が低いものが多く見られた。 ヌードマウス背部皮下にB88細胞を移植後、下記の治療を行ったところ、第1群:未処理対照群 第2群:RT単独処理群;1Gy/日、5回/週、3週間照射 第3群:RT単独処理群;1.5Gy/日、5回/週、3週間照射 第4群:RT単独処理群;2Gy/日、5回/週、3週間照射 第5群:RT単独処理群;5Gy/日、1回/週、3週間照射 第6群:RT単独処理群;10Gy/日、1回/週、3週間照射 第7群:TS-1単独処理群;5mg/kg/日、7回/週、3週間投与 第8群:TS-1単独処理群;10mg/kg/日、7回/週、3週間投与 第9群:TS-1単独処理群;15mg/kg/日、7回/週、3週間投与 体重減少を認めず最大の治療効果を示したのが第3群と第8群であったため、TS-1(15mg/kg/day,3週間連日経口投与)とRT(1.5Gy/day,5times/week,3週間照射)を単独または併用にて行ったところ、併用にて有意な治療効果が見られ、この際有意な体重変化を認めなかった。またclonogenic assayでは、TS-1(10μg/ml)とRT(2〜8Gy)を単独または併用処理したところ、B88細胞の分裂死に対してTS-1と放射線との併用効果は、RT単独処理より有意に強くTS-1はB88細胞の放射線感受性を増強させた。またin vitroにてTS-1とRTそれぞれ単独処理に比較してTS-1とRTとの併用によりcaspase3,8,9活性化とROS/RNSの産生が著明に増強した。
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