研究概要 |
平成15年度 顎関節炎実験モデルラットによる酸化ストレスの急性期での反応評価。 本年度の研究は、非侵襲的に生体内酸化ストレスを評価可能なin vivo L-band ESR法を用い、生体に投与したニトロキシルスピンプローブが、酸化ストレスの産生亢進により還元を受け減衰する原理を応用し、関節領域に存在する酸化ストレスの評価をin vivo L-band ESR法で検討した。顎関節炎モデルラット作製として、各種炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α;1×10^7 IU)を片側顎関節に注射し、顎関節炎を誘発したラット(関節炎群)を用いた。コントロール群として生理食塩水を注入したラットを用いた。ニトロキシルスピンプローブとして3-carbamoyl-2,2,5,5-tetramethylpyhrrolidine-1-yloxy(C-PROXYL;140mM)を尾静脈より投与し、関節領域でのC-PROXYLの減衰速度をL-band ESR法により測定した。今回、実験群をn=20まで行い比較検討および統計学的処理を行った。結果として顎関節領域のC-PROXYLの信号強度が示した代謝動態は2コンパートモデルを示した。減弱速度は測定時間により微小血管内での反応と組織中での反応とし評価した。コントロール群と比較した結果微小血管での反応領域において12時間後ではIL-1β投与群に有意な差が出現し48時間後ではTNF-α投与群において有意な差が出現した。この結果からサイトカインの種により酸化ストレスの発現に違いが認められた。
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