マイクロCT画像によって取得された画像の骨梁部分を構造解析するためのシステムを構築した。本システムでは、骨梁の抽出に3次元モルフォロジカルフィルタを応用することにより、前年度の実験で問題となった画像内の濃度の差が解消されるばかりでなく、石灰化度の低い骨梁についても解析が可能となった。また、これまで困難であった骨梁厚さ(Tb.Th)によって分けられた骨梁の可視化が可能となった。これは、骨強度の推定はもとより、悪性腫瘍や嚢胞性疾患といった病変による骨変化の様相を定量解析して、診断支援を行うための道を開く。 本システムを用いて、マウスの顎骨に作製された骨欠損モデルの骨性治癒を経時的にマイクロCT撮影して、骨梁形成を経時的に追跡しその変化を視覚的、定量的にとらえることができた。この実験を通して、マイクロCTによる経時撮影の手法(麻酔、固定器具の作製、画像処理)が確立され、今後のマウス実験での応用を可能とした。 また、診断支援システム構築のための臨床画像のデータベースは、70件あまりが登録された。現在、これらの臨床画像の形態計測を行い、疾患ごとの骨変化パターンの解析を上記システムを用いて行っている。 臨床画像における経時的変化を抽出するための、3次元画像のサブトラクションを目的としたRegistration方法についても検討を行い、位相限定相関法を用いたシステムを試作した。これまで、CT画像に対して同法を用いた報告はないが、被写体画像を巨視的に把握してRegistrationを行うため、簡便でノイズに強いという特性を持つ、実用化に有望なシステムとなった。
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