歯冠修復物よ天然歯と同じ量で咬耗磨耗していくことが理想と考えられそのためには天然歯の生理的な咬耗量と隣接面の磨耗量を知ることは不可欠である。本研究はエナメル質の咬耗磨耗と調和する歯冠修復材の開発をめざすための基礎データを得るために、ウ蝕未経験者の天然歯列における、エナメル質の咬耗量を測定して生理的なエナメル質の咬耗量を明らかにし、さらに咬合力との関係を調査することを目的としている。 新潟大学新入生歯科検診において、ウ蝕未経験者と診断された学生を19名選定し、選定した学生に研究の主旨説明を行ない、同意を得て協力を依頼し、天然歯列における咬耗量を測定し咬合力との関係について3年間にわたり調査したところ、咬耗量および咬合力は個人差が大きく、両者の間に正の相関関係があった。また、19〜24歳の若者では、調査した3年の期間においては咬耗量が経時的に直線的に増加する傾向があった。本研究では、当初の3年以降にも同意を得られた被験者に協力を依頼し、ベースラインから8年後における咬耗量を測定し、咬合接触面積との関係を調査している。現在、シリコン印象、咬合力測定、口腔内写真撮影などの試料採取を終了し、模型を作製し咬耗量の測定を行っている。 また、当初の3年間の試料について隣接面の磨耗量を測定するとともに、8年間の長期における隣接面の磨耗量について調査を行っている。
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