研究概要 |
我々の教室では、義歯患者における顔貌の審美的分析が重要であるとの観点から、デジタルカメラによる顔貌画像分析システムを開発し、臨床応用してきた。一方、義歯患者の顔貌の審美性における「自然さ」については、これを評価する方法としてFace ScaleやNumeric Scaleの活用について検討を行い、その有用性について平成15年度は、第10回国際補綴歯科学会で報告した。さらに我々は、義歯患者と歯科医師それぞれによる義歯患者の顔貌の自然さの評価結果について比較、検討するとともに、デジタルカメラによる顔貌画像分析を行い、顔貌の形態変化と顔貌の審美性における自然さとの関連について検討している。 平成15年度は、顔貌画像分析ソフトウェアの開発を行い、デジタルカメラで撮影した顔貌画像をパソコン画面上で点計測するだけで、顔貌画像上の角度計測や距離計測を自動的に行えるようにした。このソフトウェアでは、これまで、手入力で行っていた顔貌画像のデータ分析や患者ごとのポリゴン表・プロフィログラムの作成を自動的に行えるようになった。そのため、これまでよりも顔貌画像の計測・分析時間を短縮することができ、より簡便に行えるようになった。 今年度は、同一の総義歯患者で諸条件(咬合高径,リップサポートなど)を変えた総義歯作製を行い、各条件下での顔貌画像を撮影・分析するとともに、各総義歯を装着した義歯患者の口元の写真を評定者(複数の義歯患者と歯科医師)に見せ、その自然さをNumeric Scaleを用いて評定してもらい、そのデータを集積した。総義歯の諸条件を変えることによる顔貌の形態変化に伴い、顔貌の自然さの評定にも変化が見られたが、まだデータ数が少ないため、今後も引き続きデータ集積を行い、顔貌の形態変化と審美性における自然さとの関連について明らかにしていく予定である。
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