本研究では関節円板前方転位と転位無しが混在する片側性関節円板前方転位症例に着目し、転位無し関節の予後から切歯路角、顆路角の関係が円板転位に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 3年計画の初年度である平成15年度は、過去(平成8年〜)に収集した顎運動データ、MRIによる顎関節部の形態的特徴データをデータベース化し、その一部をGNYAP (The Greater New York Academy of Prosthodontics 2003)、平成15年度みちのく歯学会にて報告した。 その内容の概略を以下に記す。 1)被験者:96名 2)MRI円板転位の状態と、関節に変形等がないことを画像データより確認した。 そのうち、片側性関節円板前方転位症例 34名 両側転位無し症例 28名 両側性関節円板前方転位症例 34名であった。 2)下顎運動測定:片側性関節円板前方転位症例、両側転位無し症例の切歯路角、顆路角を求め、片側性転位症例の顆路角は切歯路角よりも大きいことが確認できた。 現在、被験者を追加し、初年度(初診時)顎運動MRIデータの収集・分析を行っている。 今後は、予後データを収集し、片側性関節円板転位症例の転位無し側の予後をMRIにより観察し、切歯路角・顆路角が、関節円板転位のリスクファクターとなり得るか統計学的に検証する予定である。
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