研究概要 |
どのような口腔内装具が閉塞型睡眠呼吸障害患者の治療に奏効するかについて、新潟大学歯学部附属病院いびき外来を訪れた患者を対象に検討を行った。スクリーニングとして、身長・体重・血圧の計測、通鼻検査、パルスオキシメトリーを用いた在宅検査、側面頭部X線規格写真の分析を行い、口腔内装具の使用前、使用後について終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査の結果を用いて検討を行った。 口腔内装具は、平成15年度まではHerbst型装置を改良した上下分離型の装置を、平成16年度からはエルコプレスにより作成した一体型の2タイプを用いた。前者は平成15年度に51症例、後者は平成17年2月までに41症例に用いており、順次術後評価を行い比較検討を行った。 また,術後評価を行ったAHIが5以上の閉塞型睡眠呼吸障害患者25名を対象に検討を行った。 装具装着時のAHIが20未満となり、未装着時の値の50%以下に達したものを有効と判定したところ、有効症例は軽症では5例中4例、中等症では5例中5例、重症では15例中8例で、全体では25例中17例であった。有効群と無効群を比較したところ、装具未装着時のSpO_290%未満比とLowest SpO_2において有意な差を認め、有効群では無効群に比べて軽症な症例が多いことを示した。また、有効群の軟口蓋過剰量が、無効群よりも有意に小さくなっていた。 BMIが25以上の肥満群の有効率は、14例中9例で、非肥満群の11例中8例よりも低い値を示した。肥満群は未装着時Lowest SpO_2が有意に低く、AHIも大きな値の重症症例が多く、BMIが25以上の肥満群において口腔内装具が有効であった9例と無効であった5例を比較すると、有効例では軟口蓋過剰量とPASが有意に小さな値を示したことから、口腔咽頭部での狭窄が少なく、かつ舌咽頭部での狭窄を認める症例に口腔内装具が効果的であった。
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