研究概要 |
近年、埋伏歯など不要となった歯牙より歯髄幹細胞(DPSCs)を分離することが可能となってきた。しかし、歯牙歯周組織の培養手技、条件、培養細胞の性状は未だ未解明な部分が多い。そこで、まず培養したDPSCsおよび歯嚢細胞の象牙質および硬組織形成能の有無について分子生物学的に検討した。今回、抜歯したヒト第三大臼歯および歯胚より歯嚢組織、歯髄組織、口腔粘膜組織を分離、培養し、得られた細胞の性状を検討した。それぞれの細胞について、mRNAを採取し象牙質特異的マーカーであるDMP1、DSPP、硬組織マーカーであるALPのそれぞれについて定量的RT-PCR法を用い、発現量を測定、比較した。培養歯嚢、DPSCsにおいてDMP1、DSPPのmRNA発現量はともに培養15日目より有意な上昇を認めた。歯嚢細胞のmRNA発現量は歯髄細胞に比べて経時的に有意に高い値を示した。口腔粘膜細胞ではそれらの発現は認められなかった。さらに、培養歯嚢、DPSCsは石灰化能を有するとされるDMP1、DSPPの合成が亢進され、象牙質形成能を有することが示唆された。また、DPSCsは歯胚などから比べると、崩出歯牙にも存在するため細胞供給源としては採取しやすい。そして、未分化間葉系幹細胞(MSCs)は骨、軟骨、神経、筋などさまざまな組織に分化する多分化能を有しており、各種臓器を構築することができる。今回歯など支持組織との関係についても注目し、MSCsの組織構築力、人工歯根との関係についても考察し、良好な結果が得られた。そこで、万能細胞の効率的な再生医学的応用を可能とするために、まず、この2種類の細胞特性の違いについても定量的RT-PCR法を用いて、同様にALP, DMP1,DSPPの発現について検討した。その結果、骨分化誘導培地を用いることにより各種遺伝子は15日より経時的増加を示し、培養24日目ではDPSCs(分化誘導後)はMSCsのそれぞれ左記遺伝子において10.8,3.83,32.2倍の高値を示した。さらにmicroarrayを用いた解析においては、collagen types VII, XIII, matrix glaprotein, bone siaroprotein, matrix metalloproteinase, annexin, thrombospondin, integrin α2,7,IGF-I, II, IL-8,11,TNF-α,BMP-2,4などの発現も確認された。今後、再生医療へ応用するために、さらなる解析、研究を進めていきたい。
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