研究概要 |
平成15年度 口腔癌細胞のカドヘリン発現による細胞間接着装置構成タンパク質への影響の検索した。 (1)細胞培養培地のカルシウム濃度を上げることにより口腔癌細胞5種(SAS, Ca9-22,HSC-2,3,4)の細胞内カドヘリン発現量は濃度依存的に増加したが、優位な差は認められなかった。 (2)カルシウム高濃度細胞培養培地で口腔癌細胞個々の細胞間接着装置構成タンパク質(コネキシン、オクルーディン、ZO-1)の発現の変化を各モノクローナル抗体でウエスタンブロッティング法により解析した結果、すべてのタンパク質の発現が増強した。口腔癌細胞のうち比較的SAS細胞の発現量が強かったため、SAS細胞のみをカルシウム処理の経時的に細胞間接着装置構成タンパク質の発現を観象した結果、コネキシンタンパク質に経時的発現増強が認められたSAS細胞をカルシウム高濃度細胞培養培地で経時的に培養し、RNAを回収し、RT-PCRにより増幅し、コネキシンのmRNAの発現を観察した結果、経時的にコネキシンmRNAの発現増強した。 (3)カルシウム高濃度細胞培養培地で口腔癌細胞個々の細胞間接着装置構成タンパク質の動態をTritonXで細胞膜を穿孔させた後、モノクローナル抗体とFITC標識した抗体で処理し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、それぞれのタンパク質が細胞膜上に強く発現していた。 以上の結果より、カドヘリン依存性に細胞間接着装置構成タンパク質が発現したと考えられ、細胞間相互作用の機序についてさらに検索を進める必要がある。
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