【目的】タキサン系抗癌剤であるドセタキセル(タキソテール)は細胞骨格である微小管に結合し、過重合させ、細胞分裂を妨げる。本研究では実際に癌治療に用いられるドセタキセルの骨芽細胞、破骨細胞の影響を検討した。 【材料と方法】1)1日齢ddYマウス骨芽細胞(1×10^5/well)、ddYマウス骨髄細胞(1×10^6/well)に活性型Vitamine D_3(10^<-8>M)とprostaglandin E_2(10^<-6>M)を添加し10%FBS添加αMEM培地で6日間培養した(共存培養系)。各種濃度のドセタキセルを添加して破骨細胞に対する影響を検討した。2)マウス骨芽細胞、骨髄細胞に各種濃度のドセタキセル刺激を行い、Alamar Blue assayを行った。3)共存培養で形成された破骨細胞をdentin slice上に播種して48時間培養しマイヤ-ヘマトキシレン染色法で吸収窩形成を検討した。4)マウス骨芽細胞のRANKL、OPG mRNAの発現を検討した。 【結果と考察】今回の実験結果は、マウスの骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系で、ドセタキセルは10^<-8>、10^<-7>Mで強力な破骨細胞の誘導抑制が認められた。しかしながら、培養72時間後にドセタキセルを添加した場合には、10^<-6>Mでも抑制効果は認められなかった。骨芽細胞、骨髄細胞のそれぞれに各種濃度のドセタキセル刺激を添加してAlamar Blue assayを行った場合、10^<-8>、10^<-7>Mで破骨細胞の強力な誘導抑制が認められた。72時間後にはドセタキセルの強力な抑制効果は認められなかった。また、ドセタキセル10^<-6>Mで破骨細胞の吸収窩抑制が認められた。骨芽細胞のRANKL、OPG mRNAのドセタキセル刺激による影響は認められなかった。 【結果】以上からドセタキセルは骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞の増殖、機能を抑制した。
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