本年の研究においては、まず予備実験として、形態を単純化した合金(球体、立方体)による金属アーチファクトの観察を行った。視覚的には合金の形態の相違による金属アーチファクトの形態の違いは明らかであったが、定量的には有意差は認められなかった。撮像シーケンスにおいてはファーストスピンエコー法T2強調像において最も大きなアーチファクトが認められた。さらに金合金において最も大きなアーチファクトが認められたため、特に金合金を用いてアーチファクトの三次元的観察を行った。金属アーチファクトは三次元的に以下の2つの領域よりなっていた。すなわち合金周囲には無信号域を認め、その形態は明らかに違いが認められ、立方体においては紡錘形、球体においては円錐型を呈する傾向が認められた。さらに周波数エンコード方向においては、両形態ともにドーナツ状ならびに三日月状の高信号域が認められた。定量的なアーチファクトの体積の計測においては、両者に有意差は認められなかったが、球体のアーチファクトは立方体のアーチファクトと比較し、小さい傾向が認められた(英文誌投稿中)。 次に、天然歯のMRIの撮像を行った。その形態ならびに体積を画像解析ソフトにより計測し、天然歯の実際の体積との相関性を検討し、現在データの分析中である。なお、天然歯の体積計測にあたっては、自家製の歯牙体積計測器を作成し計測した。 現在、実際に夫然歯に支台歯形成を行い、クラウンを作成、MR画像の撮像中である。
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