研究概要 |
近年,既知の遺伝子P56^<lck>分子のC末端部分が,HLA-A24拘束性のCTLに認識されるエピトープであることが明らかになった.われわれは,P56^<lck>が口腔扁平上皮癌患者に対する癌ペプチドワクチンの標的分子になり得るか検討した.まず,手術で切除した口腔扁平上皮癌組織27例をモノクロナール抗体で免疫染色したところ,48%が陽性であった.次に,RT-PCR法で発現を調べたところ,口腔扁平上皮癌の細胞株(6株)および,癌組織からそれぞれ検出された.さらに,ペプチドによるHLA-A24特異的なCTL誘導能を検討したところ,HLA-A24陽性の口腔癌者末梢血から,P56^<lck>特異的なCTLを誘導することが可能であった.以上の結果より,P56^<lck>分子が口腔扁平上皮癌患者に対するペプチドワクチン療法になり得る可能性が示唆された.
|