研究概要 |
近年インプラント治療期間短縮のため早期加重負荷が行われているが、現在のところ埋入時の初期固定力、上部構造の形態、咬合圧等の早期加重負荷時における明確な基準がない。そこで、この研究では即時加重負荷の適否を判定するための基礎データを得ることを目的とした。 方法:対象は成熟雌ビーグル犬3頭で、ペントバルビタールの静脈内投与による全身麻酔下にて両側下顎臼歯を抜歯した。16週後、全身麻酔下にて、下顎骨両側にReplace Select Straight Implant(Electro-oxidized surface φ3.5mm×10mm)を各3本埋入し、片側には金属バーにより,3本のインプラントを連結する上部構造を装着、反対側3本中2本には単冠の上部構造をそれぞれ装着、残りの1本は粘膜下に埋伏させ対象とした。装着した上部構造は、埋入同日から咬合圧がインプラントに負荷されるように咬合調整を行った。咬合負荷開始後の初期の骨変化を明らかにするため、埋入4日目に2頭、7日目に1頭をペントバルビタール静脈内大量投与によって屠殺、下顎骨を摘出し固定した後、マイクロCTを撮影した。 結果:埋入手術時、3頭の抜歯窩は全部位で肉眼的に完全に治癒しており、埋入は通法の手順に従って行った。摘出した試料は非脱灰研磨標本との比較を行うため、固定した段階でマイクロCTを撮影した。埋入4日目のものは、インプラントのスレッド全体が骨と接触しているものが多く、対象および上部構造の違いによる差をマイクロCT上は認めることができなかった。埋入7日目では、負荷を与えたインプラントのスレッド部において、骨に咬合圧が加わったと思われる部分にインプラント体と骨との間に若干の透過像を認めるものがあった。対象では埋入4日目のものと差を認めることはできなかった。今後、摘出した試料は浸漬固定し樹脂包埋を行い、非脱灰研磨標本を作製、インプラント周囲骨の状態を骨形態計測学的に検討する予定である。
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