近年インプラント治療期間短縮のため早期加重負荷が行われているが、現在のところ埋入時の初期固定力、上部構造の形態、咬合圧等の早期加重負荷時における明確な基準がない。そこで、この研究では即時加重負荷の適否を判定するための基礎データを得ることを目的とした。 方法:対象は成熟雌ビーグル犬3頭で、昨年度、下顎骨両側にReplace Select Straight Implant (Electro-oxidized surface φ3.5mm×10mm)を各3本埋入し、片側は3本のインプラントを連結する上部構造、反対側3本中2本は単冠の上部構造をそれぞれ装着し、即日から咬合圧をインプラントに負荷した。埋入した残りの1本は対象とした。咬合負荷開始後の初期の骨変化を明らかにするため、埋入4日目に2頭、7日目に1頭をペントバルビタール静脈内大量投与によって屠殺、下顎骨を摘出しマイクロCTを撮影した。本年度は、固定した下顎骨から、脱脂、脱水、樹脂包埋を行い、非脱灰研磨標本を作製した。 結果:類骨の観察を行う自的で、光学顕微鏡で観察を行った。埋入4日目のものは、皮質骨部および海綿骨部において、既存の骨とインプラントのスレッドが接触していた。しかし、対象および上部構造の違いによる差は認めることができなかった。埋入7日目のものは、皮質骨部においてインプラントのスレッド部が既存の骨と接触していたが、海綿骨部では、スレッド部と既存の骨とが直接接触している部分は少なかった。上部構造形態の違いによりこれらの所見に差は認めなかった。対象では埋入4日目のものとほとんど差を認めることはできなかった。今後、マイクロCTの結果と比較を行うとともに、インプラント周囲骨の状態を骨形態計測学的に検討する予定である。
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