本研究は、歯根膜および歯髄における神経線維や骨組織の三次元構築を行い、三次元的形態計測を目的としている。前年度は、生理的歯の移動時における歯髄および歯根膜における神経ペプチドのimmunohistochemistryを行い、三次元モデルを構築し、組織形態計測学的に分析を行った。その結果、生理的歯の移動時において骨の改造現象と神経ペプチドとが密接に関与することが明らかとなった。そこで本年度では、実験的歯の移動時における骨の改造現象と神経ペプチドとの関連を明らかにするために、ワルド法による歯の移動を行い、三次元的形態計測を行った。さらに、今回は歯根膜の中枢領域である三叉神経節における神経ペプチドの変化も三次元的に定量した。歯の移動後、SD系ラットの上顎骨を採取後、蛍光免疫染色を行い、落射蛍光顕微鏡及び既存の共焦点レーザー顕微鏡を用い連続断層写真を記録した。得られた連続断層写真を三次元距離計測ソフト(Neuron Tracer)および体積・表面積測定ソフト(Surpass)を用い、神経組織の三次元構築を行なった。また、Metamorphを用いて神経線維および骨細胞の三次元モデルを構築し、組織形態計測学的に神経伝達物質と骨組織との関連を分析した。その結果、実験的歯の移動時において神経ペプチドが骨の改造現象、特に破骨細胞に密接に関与することが示唆された。また、三叉神経説においても末梢である歯根膜同様神経ペプチドの著名な増加を認めた。現在、以上の結果について、論文作成中である。
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