研究概要 |
本年度の研究概要として、本研究を遂行するにあたって基礎的データーとなる、生体におけるβディフェンシンの発現および局在の解析を以前から行ってきたが、本研究費を用い「小児歯肉におけるヒト・ディフェンシン-1、-2、-3 mRNAの発現および局在」という実験を完了させ、小児歯科学雑誌第42巻2004に、また「Correlated expression of human beta defensin-1,-2 and -3 mRNAs in gingival tissues of young children」という論文がArch Oral Biol.49,2004に掲載された。本研究では、βディフェンシン-3発現KB細胞のみならず、βディフェンシン-1発現KB細胞およびβディフェンシン-2発現KB細胞を作製し、これらの細胞の特性を検索した。βディフェンシン発現KB細胞はコントロールと比較し有意に細胞増殖および細胞遊走の性質を抑制し、これらの細胞増殖はCyclin dependent kinase inhibitorであるp21/waf1およびp27/kip1に制御されていること示し、第82回歯科国際学会(ハワイ3/10〜3/13,2004)で発表した。またsiRNA methodを用い正常角化細胞株HaCaT細胞のβディフェンシン-1、-2および-3をknock downさせた際、それぞれ細胞増殖が促進し、細胞分化が低分化に移行する結果を得て、第83回歯科国際学会(ボルチモア3/9〜3/12,2005)で発表した。本年度、他の研究機関でS. mutansの抗菌作用が証明されたため、S. mutansを用いた増殖抑制の検索は行わなかったが、本研究により、歯肉におけるβディフェンシンの発現・局在を明らかにし、またβディフェンシンが細胞増殖にも関与する知見を得た。
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